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オーソモレキュラーアカデミー

分子栄養学ブログ

セミナー報告や当協会認定の分子栄養学アドバイザーによる分子栄養学ブログをお届けいたします。

執筆者の写真守島宏枝

健康診断~血液検査の裏側~

皆様、こんにちは。

第7期分子栄養学アドバイザーの

守島宏枝と申します。


私は看護師の経験を経て現役保健師でもあります。


安藤先生の新書

「オーソモレキュラーダイエット」

発売されましたね。


この場をお借りして安藤先生、

出版おめでとうございます♪


健康的に痩せるという概念が益々

普及すること間違いなしですね。

健康×ダイエットのメゾットは、私の本業で

ある保健師としての特定保健指導にも

活かせる内容だと思っています。

これから、私もじっくりと読み多くの人に

届けていきたいです。


さて、今回は健康診断の中の血液検査

ついて深堀していきたいと思います。

その前に、健康診断は色々な補助や

サービスが受けられることを

皆さんご存知ですか?


企業は労働安全衛生法第44条に基づき、

健康診断の実施義務が制定されています。

正しくは、一年以内ごとに一回、定期的に、

医師による健康診断を行わなければならないとされています。


アルバイトやパートも

  • 1年以上勤務する予定がある者、 もしくは期限を定めずに採用した者

  • 同種の業務に従事する正社員と比較して、 週単位の労働時間が4分の3以上である者

週単位の労働時間が4分の3以下であっても、

2分の1以上である場合は、健康診断を

実施することが望ましいとされています。

もし、該当されている方がいらっしゃいましたら

是非、お勤め先に伝えてくださいね。


また、協会けんぽに加入されている方

(35歳以上)は協会けんぽが費用の一部を

補助して生活習慣病予防健診が受けられます。

もしお勤め先がこの生活習慣病予防健診を

実施されていないという方は個人でも保険証が

あれば受けることができます。


他にも単独健診

子宮頸がんは20歳以上~偶数年齢

乳がん検診は40歳以上~偶数年齢

付加健診は40歳と50歳

肝炎ウイルス検査は受けてことのない方

1回限り負担金が少なく受けることができます。


令和5年度はさらに自己負担が

少なくなっています!自己負担5,282円です。


人間ドックも実は差額ドックと言って、

協会けんぽが費用の一部を

負担して受けることができます。

被扶養者の方や国保の方も

特定健診差額ドックというものがあります。

是非、自己負担を少なく健診をお受けください。


詳しくは

健診のご案内 | 健診・保健指導 |

全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)


他にも各自治体によってもサービスが

異なりますので、自治体の補助も有効活用してください。


本題の健康診断の血液検査の裏側についてです。


血液検査と言えば、

「食事を摂らずに来てください」ということが

多いと思います。

案外、水分も全く摂らずに検査を受けに

来られている方が多いです。

お茶や水の摂取に制限がない時には

健診に行くまでに500ml程度の水分

ゆっくり飲んでいくことを推奨します。


血液検査がなぜ、空腹時に採ることが

多いのかというと、


  • 中性脂肪や血糖は食事の負荷に よって変動する

  • 空腹時以外の検査値の診断基準がない


という理由があります。


しかし、デメリットは

  • 食後の高血糖が起きているか 分からない

  • 非空腹時の中性脂肪の方が、 心血管系疾患との相関が高い

と言われています。


最近では、空腹時血糖は正常でも

食後高血糖がみられる場合

「隠れ糖尿病」と呼ぶようになってきました。

中性脂肪は欧州では非空腹時の

中性脂肪値は175mg/dl未満とされています。


健診以外で血液検査を行う際には、

是非食後に測定してみることを

おススメします。

また、健康診断でも75gブドウ糖負荷試験

OGTT)というブドウ糖の負荷による

インスリンの反応を調べる検査を実施

している検査機関もあります。

健診のついでに受けるのも良いかなと思います。


ただし、夕食後から絶食し、

75gのブドウ糖液を飲む前、30分後、

60分後、120分後と採血を

しなければなりません。4回針を刺すことになります。


日頃から、疲れやすい、冷や汗がでる、

震える、イライラしやすい、悪夢をみる、

食いしばりがあるなどの低血糖症状が

起きやすい方はお控えください。

Free Styleリブレという採血不要の

血糖測定器も一般の方も購入できるようになりました。


採血時に数十人~数百人に1人、

気分が悪くなったり、冷や汗や

意識消失する方がいらっしゃいます。


傾向としては10代や20代の男女に

多いですが、どの年齢層にも見られます。

これは、「迷走神経反射」と呼ばれるもので、

迷走神経反射(vaso vagal reaction:

VVR=ワゴトニー)通称:「ワゴッた」

スタッフ間では使ったりします。


迷走神経反射は、過度の緊張や

痛み刺激によって副交感神経が活発に

なり症状を引き起こします。副交感神経が

活発になるので、急激に心拍数が落ちます。

それに伴い血圧も低下し、

脳血流が低下するため真っ青になったり

・意識消失が起こる

場合があります。


また、迷走神経は腹部に多く存在するため、

吐き気などの症状も伴うことがあります。

採血の針が入った直後に起こることが

多いです。


極度に緊張している方や、痛みに弱い方は要注意です。


私達、採血を行う側は、長年採血を

していると直感が働きます。

やたら深呼吸している人や

息を止めている人、

血管の緊張が弱い人など、心の中で

「この人ワゴりそう」と思うことがあります。

緊張をほぐすために違う話をしたり、

緊張させない対策をすることで

克服される人もおられます。

そこで「マインド」って大事だなと思うことが多いです。


「痛そうだな、怖いな」と思う方が

いらっしゃれば、「血液検査の結果良く

なっていますように」などポジティブな

マインドに思考を変えてみてください。


分子栄養学では、交感神経と

副交感神経のお話があります。

通常、人は生命の危機が迫ったときには

「交感神経」が優位になり、心拍数が

上がり血圧を上げ戦うか逃げるかの反応を起こします。


しかし、Pogesさんの提唱する

「ポリヴェーガル理論」という考え方があって、

生命の危機が迫った時には、

交感神経だけではなく、副交感神経の

一種である「迷走神経」の中の

「背側迷走神経系」と呼ばれる神経が

活性化し、これまでとは異なる働きを

介した防御システムが発動すると考えられています。


その代表的な反応が、

「不動化(フリーズ)」です。

この「不動化」という反応こそが、

トラウマに対する反応だとPogesは

気づいたそうです。


不動を司る迷走神経(背側迷走神経)

とは別に腹側迷走神経と呼ばれる

もう一つの迷走神経は、交感神経と

副交感神経のバランスを整えている

重要な神経とも言われており、

お腹側の横隔膜の辺りに位置している神経です。


この神経が優位になることで、

リラックスした状態をもたらし、

心拍数が安定し、呼吸も穏やかになり、

人間関係が良好になると言われています。

このことから、社会交流神経とも

呼ばれるそうです。

この腹側迷走神経が優位になる

キーワードは「安心・安全」です。


これを知った時、採血をする側は安心感や

リラックスできる環境づくりも大事なんだと

分かり、理論を知らずしてもやってたなーと感じました。


このポリヴェーガル理論を利用した

リラックス方法として

  • 笑顔を作る ⇒リラックスしたから笑顔になるではなく 笑顔を作ることでリラックスできるという 仕組みを利用する

  • 長く息を吐く ⇒顔の下半分の神経や喉のえら辺りの 神経を活発に動かすことで、 同様の神経を活性化できる

※息を吸うのではなくて吐くを意識する

もし、血液検査が苦手な方は一度試してみてください。


健康診断では、未病の段階で

予防するのは難しいと思われている方も

多いと思います。

しかし、平成31年には全国健康保険協会

のホームページでも未病について

取り上げられていたり、少しずつ「未病」

いう言葉が浸透してきています。

未病とは

「発病には至らないものの健康な状態から

離れつつある状態」のことです。

大きく二つに分けられ

一つは、「自覚症状はなくても検査で

異常がみられる場合」

もう一つは、「自覚症状があっても

検査では異常がない場合」

があります。


健康診断は、自覚症状のない未病を

発見するチャンスでもあります。

分子栄養学の知識をお持ちの皆様は、

自身の健康状態を知るための

定期メンテナンスとして、

自己負担を掛けずに確認できる

持ってこいの検査だと思います。

健康診断を上手に活用して、

健康意識を高めてくださいね。


次回は、健康診断結果の血圧測定

ついて深堀していきたいと思います。


5月 はじめよう 未病対策 | 健康サポート | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)


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