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オーソモレキュラーアカデミー

分子栄養学ブログ

セミナー報告や当協会認定の分子栄養学アドバイザーによる分子栄養学ブログをお届けいたします。

その頭痛、低血糖かもよ?

執筆者の写真: 尾崎由貴尾崎由貴

私の夫は、よく頭痛を起こします。

 

休日の朝。

 

起きてすぐ「頭が痛い…」と言って

鎮痛薬を飲み、ご飯も食べないまま

再び寝室に戻っていくのです。

 

そんな日は、ろくに飲まず食わずで

寝室にこもったまま、夜を迎えます。

 

「せっかくの休日なのに……」

 

私は不満に思うことしかできませんでした。

 

 

頭痛専門の病院に行ったこともあります。

 

片道1時間ほどかけて、

何度か一緒に通いました。

 

けれど結局、

はっきりと原因はわからなかったし、

頭痛が治ることもありませんでした。

 

夫は

「たぶんストレスが原因かな……」

と力なくつぶやき、

 

通院もやめてしまいました。

 

 

それから、夫が言ったとおり、

ストレスの原因だったであろう

職場が変わってからは、

 

頭痛が少しだけ改善したようでした。

 

それでも毎日頭痛を起こしていたのが

5、6日に一度に頻度が減っただけ。

 

完全に治ったとは言いがたい状況です。

 

 

また、頭痛を起こしていたのは

夫だけではなく、私自身もでした。

 

夫ほどひどくはないけれど、

月に何度か軽い頭痛が起きます。

 

何年かに一度は

激しい頭痛と吐き気におそわれて、

 

あまりの苦痛に

救急車を呼んだほうがいいのではと

思ったこともありました。

 

 

私の場合、痛むのは決まって、

こめかみと目の奥の部分です。

 

じわじわと

締めつけられるような痛みを感じます。

 

初めは耐えられる痛みで

仕事や日常生活に支障はないのですが、

 

そのままにしていると徐々に

痛みが強くなっていくのがお約束。

 

最終的に痛みで何も手につかなくなり、

 

苦痛から逃れるように

寝ることしかできなくなるのです。

 

 

当初は体が冷えているからとか、

肩こりから来ているのだろうとか、

 

一般的に言われている頭痛の原因を

自分に当てはめて考えていました。

 

そして、夫と一緒に

マッサージ屋さんに行ってみたり、

お灸を使ってツボを刺激してみたり、

あらゆる頭痛対策を試しました。

 

しかし、

効果があるのかどうか、

どれもはっきりとわからず。

 

結局、続けられませんでした。

 

 

頭痛がなければ、

どんなに過ごしやすいだろう――。

 

そう思うままどうすることもできず、

ただただ時間が過ぎていくばかりでした。

 

 

しかし、転機がありました。

 

1年ほど前、

オーソモレキュラーアカデミーと

出会ったのです。

 

そこで私は「低血糖」について学びます。

 

「低血糖」という言葉は

聞き慣れないものでしたが、

 

それが原因で頭痛を

引き起こすことがあると知りました。

 

低血糖とは、

血液中の糖(グルコース)が

足りていない状態のことです。

 

体に必要な糖、すなわち

「エネルギー」が不足している状態のため

 

体が危険を感じて、

どうにか血糖を維持しようとします。

 

その際、体内で分泌されるのが

「アドレナリン」というホルモン。

 

私たちの体は

アドレナリンの作用によって、

 

肝臓に貯蓄された糖の分解を促したり、

 

筋肉や脂肪組織から

エネルギーになるものを作り出したりして、

 

血糖が低くなりすぎないようできています。

 

 

ところが、です。

 

アドレナリンには

血糖を上げる以外の働きもあります。

 

そのひとつが

「血管を収縮させる」というもの。

 

 

血管を収縮させる目的は、

 

主に血圧を上げて

体をアクティブにするためなのですが、

 

これが体にとって

良くない働きをする場合があるらしく……。

 

具体的には、

頭痛につながるケースがあるのだそうです。

 

では、なぜ頭痛を引き起こすのか。

 

 

じつは

アドレナリンが分泌されて

 

血管の収縮が起こると、

その後、反動で血管が緩んでいきます。

 

このとき、血管の周りにある

知覚神経が刺激されてしまい、

頭痛を引き起こすのだそうです。

 

アドレナリンが分泌されるのは、

血糖が下がってきたときのほかに、

 

ストレスを感じたときや

カフェインを摂ったときなどもあります。

 

夫が頭痛の原因を

ストレスかもと言っていたのは、

正しかったのだと思いました。

 

ですが、夫の場合、

ストレスが緩和されても

頭痛を起こしていたわけなので、

 

ほかにも何か原因があるはずです。

 

 

頭痛を起こした日の、

夫の行動を振り返ってみました。

 

彼が頭痛を起こすのは、だいたい休日。

 

前日はだいたい同僚たちとの

飲み会に行き、夜遅くに帰ってきます。

 

そして翌朝、「頭が痛い……」

と鎮痛剤を飲むのです。

 

もしやアルコールって、

低血糖と関係しているのかも……?

 

調べてみると、

アルコールを過剰に飲むと

低血糖になりやすいとの情報がありました。

 

なんでも、

アルコールは肝臓の働きを

一時的に弱らせてしまうのだそうです。

 

通常、血液中の糖が少なくなると、

 

肝臓にためられていた糖

(エネルギーの予備)が使われるため

血糖値は維持されやすいのですが、

 

大量飲酒で弱った肝臓からは

エネルギーの予備が放出されず、

血糖がどんどん下がっていくのだとか。

 

そこでアドレナリンが頑張って

血糖値を上げようとしてくれる。

 

それと同時に血管が収縮してしまい、

頭痛を引き起こす、というわけです。

 

すごく納得しました。

 

さらに、夫の場合は

頭痛がするからと言って何も食べず、

そのまま寝て回復しようとするため

 

エネルギーが補給できず、

低血糖でますます頭痛がひどくなって

しまっていたようでした。

 

 

思い返すと、私もそうです。

 

私の場合、頭痛を起こすのは、

だいたい仕事に熱中しているとき。

 

在宅ワークをしているため、

集中しすぎるとご飯を食べるのも忘れ、

空腹時間が長くなってしまうのです。

 

そのため、

エネルギーが補給できず、

どんどん血糖値が下がっていくと。

 

だから頭が痛かったのかーー。

 

じゃあ、低血糖になる前に、

糖分をとればいいってこと?

 

たとえばクッキーとかさ、

仕事しながら食べたいときに

すぐ食べられるから、いいじゃん。

 

 

そう思ったのですが、

「何を口に入れるか」も

大切なのだと学びました。

 

というのも、

クッキーなどのお菓子は、

そのほとんどが糖質でできています。

 

低血糖を起こしかけているときに

糖質メインのものを口にすると、

 

血液内の糖が急激に増え、

その後、急激に減るという現象が起きます。

 

ジェットコースターのような

急上昇・急降下が起きる、というわけです。

 

それは結果的に、

かえって低血糖になりやすい状態

だと言われています。

 

また、そのような食事を続けると、

体に大きく負担がかかってしまい、

 

糖尿病などの

生活習慣病への入口が近づいてくる――。

 

私はそう考えて、

自戒するようにしています。

 

「疲れたときの糖分補給」

とはよく言うと思いますが、

 

摂り方を工夫しないと

危険なのかもしれませんね。

 

 

では、どのような

食事をとればいいのかというと、

 

和風定食のような

糖質に偏っていない食事を

目標に私はメニューを決めています。

 

とはいえ、

楽をしたいと思うタイプなので、

 

とりあえず

最低限の食材がそろっていれば

オッケー! と思うようになりました。

 

具体的には、

食事を準備するときに

「米」「肉か魚」「汁物」

を中心にメニューを考えます。

 

後から

「もうちょっと栄養を足したいよなー」

と思えば、

 

生野菜を足すなり、

白米に鰹節やあおさ、ゴマなどを

混ぜ込んで栄養をちょい足しするなり、

 

そのときの気分で

栄養を補えるようなメニューを

何かしら追加するようにしているのです。

 

あとは、以前より

一品ごとの量を多めに作るようにして、

 

在宅ワークで

自分の食事を作りたいと思えないときでも、

 

きちんと食べるために

工夫するようになりました。

 

 

そして、

夫が頭痛を起こしたときには、

 

何か食べたら頭痛が楽になるよ

とアドバイスができるようにもなりました。

 

実際、頭が痛いと言う夫にボーンブロス

(骨を煮込んだスープ)をベースにした、

タンパク質もりもりの雑炊を作ってあげると

 

それを食べた1、2時間後には

「元気になった! もう痛くないよ」と言って

 

ちょっとうれしそうな顔をした

夫の姿を見ることができました。

 

 

低血糖による頭痛のいちばんの対処法は

「空腹時間を短くすること」です。

 

とはいえ、

人によって適切な空腹時間は変わります。

 

おなかが空いてきたなと感じたら

すぐに食事を摂る、というのが理想ですね。

 

私は1食に食べられる量が少なく、

やせ型で予備のエネルギーが少ないため、

 

食事から3時間も経てば、

そろそろ何か食べないと

体調が悪くなるぞと身構えています。

 

 

私たちは長い間、

頭痛に悩まされてきましたが、

「低血糖」という正しい原因を知れたことで

 

その対処法がわかり、

うまくつきあえるようになったのでした。

 

これからも

自分の体の声をしっかりと聞いて、

 

「食べること」で

体のケアをしていこうと思います。

 

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