分子栄養学と月経前症候群
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オーソモレキュラーアカデミー

分子栄養学ブログ

セミナー報告や当協会認定の分子栄養学アドバイザーによる分子栄養学ブログをお届けいたします。

分子栄養学と月経前症候群

みなさん、こんにちは。

分子栄養学アドバイザーの藤井祥子です。


6月も半ばになり、神戸も梅雨入りです。


私は天気が悪くなると

不調になりやすいのですが、

天気だけでなく生理前にも

調子が悪くなることがあります。


今日は生理前の不調(月経前症候群)

についてお話したいと思います。


●月経前症候群ってなに?


月経前症候群とは


英語でPremenstrual Syndrome(PMS)


月経前(だいたい3~10日前位)から

月経が始まるころまで続く

精神的、身体的な症状のことです。

月経が始まると治るので月経「前」症候群

なんですね。


PMSの代表的な症状は


  • 落ち込みやすい

  • イライラする

  • 怒りっぽくなる などメンタル的なもの


  • 頭痛

  • 胸の張り

  • 太りやすい

  • 手足のむくみ など身体的なものが

あります。


程度の大小はあるかもしれませんが、

症状に当てはまる方も

多いのではないでしょうか。


ちなみに私が分子栄養学を学ぶ前は

全て当てはまってました。

今でも子供との何気ない会話でイラっと

することが増えてくると「生理前だな」と

わかります。


●PMSの原因は?


PMSの原因は実は良く分かっていません。

性ホルモンの影響を受けていると

言われています。


卵巣が出すホルモンは

「エストロゲン(卵胞ホルモン)」

「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。


エストロゲンは排卵前に多く分泌され、

気分や睡眠、食欲、行動などを調節する

働きがあります。


また幸せホルモンであるセロトニンの

調整もしてくれます。


そのため、エストロゲンが分泌される

排卵前は精神的・身体的に調子が良く

なります。

ダイエットに最適なのはこの時期です!


プロゲステロンは排卵後に多く分泌され、

月経の1週間前から減り始めます。

プロゲステロンが減ると

「GABA」や「セロトニン」といった

気分を落ち着かせたり、

不安感を取り除いたりする

神経伝達物質がうまく働かなくなります。


そのためプロゲステロンが減ってくる

月経1週間前になるとメンタルが不安定に

なりPMSの症状がでやすくなります。


女性はホルモンバランスで精神的・身体的に

不安定になりやすいのです。

月経のない男性にはわからない感覚かも

しれませんね。

では同じ女性でもPMSの症状が出る人、

出ない人の違いは何でしょうか。


●PMSは生活習慣の改善がカギ


PMSに関わる女性ホルモンは卵巣から

分泌されますが、

これは脳の視床下部から下垂体⇒卵巣へ

「ホルモン出して~」と命令が出ることで

分泌されるのです。


そのため視床下部の働きが悪くなると

正常な命令が出ず、ホルモンバランスが

乱れる原因となります。

視床下部の働きが悪くなるのは

ストレスが長期間続いているときなどです。


例えば、欠食や少食が多い、睡眠不足など

知らず知らず体へかけているストレス、

仕事や人間関係が悪く精神的なストレスが

ある…など。


ストレスが多いと副腎という臓器から

コルチゾールというストレスに

対抗するためのホルモンが

たくさん分泌されます。


このコルチゾールも視床下部からの命令で

分泌されるのでストレスがあって

コルチゾールが出続けてると

視床下部が働きすぎとなり、

徐々に機能が低下してしまいます。


女性特有の病気や症状がある場合は

器質的な問題だけでなく

視床下部の機能低下が

隠れていることもあります。


またコルチゾールも含めホルモンの原料は

コレステロールです。

ストレスが多く

コルチゾールの需要が高まると

体はそちらを作るのを優先し、

性ホルモンの産生を減らしてしまいます。


性ホルモンが産生されないと

月経が止まってしまったり、

不順になったりと

PMS以外の不調が出てくることもあります。


正常なホルモン分泌を促すためには

生活習慣を整え、ストレスを減らすことが

カギとなります。


  • 3食をバランスよく食べる

  • 睡眠時間を確保する

  • 適度に運動する 

  • アロマや深呼吸でリラックスする など


リラックスすることで自律神経のバランスを

整えることができるので、手軽にできる

深呼吸などはとてもオススメです。


PMSはエストロゲンの分泌が高い

20~30代に多いと言われます。

この年代は仕事や育児に忙しく、

自分の体をついつい酷使しがちです。

「これくらいなら大丈夫」と思わず

「ちょっと調子が悪いな」と思ったら

少しずつ生活習慣を整えていきましょう。


●PMS対策の栄養と注意点


生活習慣を整えるには

3食をバランスよく食べるのが一番です。

ここではPMS対策に良い栄養

3つ紹介します。


★ビタミンE 


むくみの軽減や、血流アップによる

腰痛の緩和に役立ちます。

米油やアーモンドに多く含まれますが

脂溶性ビタミンなので脂質の消化が苦手な

人は吸収しにくくなります。


揚げ物を食べるのが苦手という方は

脂肪の消化吸収力が弱いかもしれません。

脂肪の消化には胆汁分泌が必要なので、

杜仲茶や海苔など胆汁に良い食材も

一緒に摂ると良いですよ。


★カルシウム 


昔からイライラしている人がいると

「カルシウム不足だね」と言わますね。

「骨を作る」イメージが強いですが、

不足している人はPMS症状が重いという

統計もあります。


カルシウムは乳製品に多いのですが、

乳製品はカゼインという消化されにくい

タンパク質を含むため、

たくさん取ると腸を荒らす原因となります。


また牛乳をたくさん飲むと鉄分の吸収が

悪くなる牛乳貧血になったりするので、

乳製品ばかりではなく小魚や野菜などからも摂取しましょう。


★大豆製品 


大豆に含まれる「大豆イソフラボン」

腸内細菌の働きでエクオールという

女性ホルモンに似た働きの物質を作ります。


体内にエクオールが多い人は

PMSが軽いそうです。

しかし日本人は二人に一人しか

エクオールを作る腸内細菌を持っておらず、

若年層になるほど体内で産生できる人は

少なくなります。


エクオールはサプリメントもあるので

利用してみてもいいかもしれません。


大豆製品は優秀な植物性たんぱく質ですが、

人によっては

SIBO(小腸内で腸内細菌が増えてしまう症状)で

お腹にガスが溜まるなどの

不調が出る人もいます。


大豆製品を食べるとお腹が張る、

げっぷやおならが増えるなどの症状が

ある場合は食べすぎないようにしましょう。


●PMSと血糖値


私のPMS症状はイライラ、怒りっぽくなる、

などメンタル不調が多かったのですが、

これはホルモン作用による血糖値の乱高下

原因のひとつでした。


血糖値は80~140の間で

維持されるのが理想です。

しかし糖尿病の家系だったり、

欠食をしていたりすると

血糖値の維持が難しく、

食事の後に急激に血糖値が上がり、

また下がり…とアップダウンが激しくなります。

この乱高下がメンタル不調の原因です。


排卵後に分泌されるプロゲステロンは

血糖値を下げるインスリンの効きを

悪くするため

排卵前に比べると血糖値が高めになります。


丼ものや、麺類、パンなど

糖質過多な食事をするのは避けましょう。

インスリンの効きが悪くなっているので

糖質が中性脂肪に変わりやすく、

いつもより太りやすくなります。


かと言って糖質制限はオススメしません。

エネルギー不足になり、

他の不調を引き起こしてしまいます。


3回の食事で白米を食べる、

分食して小分けに食べる、良く噛む、

などの工夫をすることで

血糖値の乱高下が起こりにくく、

メンタル不調が軽減されます。


●PMSには生活習慣の見直しを


生活習慣を整えることにで

PMSはかなり改善されます。


私は若いころから月経痛が重く、

産後はPMSがひどくなり、

40歳を過ぎて月経過多になり…と

月経に関する悩みが付きませんでした。


分子栄養学に出会って、食生活を改善し、

睡眠をしっかり摂るということで

これらの症状が軽くなり

生活の質がとても上がりました。


分子栄養学は身体症状が改善されると

同時に自分の体を大切にする方法が

わかるところがとても良いところです。


毎月おつきあいする月経が苦痛なのは

精神的にもしんどいですよね。

できることから少しずつ生活を

見直していくことで、月経だけでなく、

毎日の生活の質を上げていきましょう。

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